Les Créations de 2008 by Akira Senju

1960年東京生まれ。東京藝術大学作曲科卒業。同大学院首席修了、修了作品同大学美術館買上。日本アカデミー賞優秀音楽賞等受賞歴多数。東京藝術大学特任教授、東京音楽大学特別招聘教授。代表作にピアノ協奏曲「宿命」、オペラ「万葉集」「滝の白糸」、中国語ミュージカル「白夜行」。映画「RAMPO」「愛を乞うひと」、ドラマ「風林火山」「LEADERS」、NHK8K「ルーブル美術館」、アニメ「機動戦士Ｖガンダム」「鋼の錬金術師FA」、ゲーム「Triangle Strategy」等、多数の音楽も担当。

A talk with Akira Senju

今回作曲していただいた際に、どの楽器を何かに見立てて、それぞれの役割があったと思いますが、どんなプロセスでどの楽器を何に見立てて作曲されましたか。

本当に長い間KRUGのLoverとしてKRUGを飲んでいるわけですけども、やはりその中で、今までの経験の中で音楽に置き換えたらという事もいつも考えていていました。ピノ・ノワールはストリングセクションです。弦楽器。絹のような、弦楽器になります。シャルドネは、木管楽器です。ウッドウインド。それで、ピノ・ムニエ。これは絶対に素晴らしいアクセントになります。たとえるならホルン。フレンチホルン。本当に見事にその通りだと私は思います。そういう風に役割分担をして、そしてそれぞれの役目、それぞれ混ぜ方を、考えています。

ミュージックとシャンパーニュを合わせるということに関しては、どんな風に考えられていますか？

実はもう10年ほど前から、時々行っていました。KRUGとKRUGの作り手のみなさんの考え方と、音楽家の考え方というのは凄く似ているのでミュージックとのペアリングというよりも、お互いクリエーターとして、クラフトマンシップ、アルチザンとして、もう答えは出ていました。私は音楽家としてアプローチするとこういう形というのがあったので、苦労はしなかったのですが、私が音楽で書いているものを、KRUGと合わせるとこうなるという答えのようなものが今回完成しました。以前、みんなでクラシック音楽とKRUGを一緒にテイスティングをしながら、どの曲が合いますかなど、ペアリングをしてきました。しかし今回は自分の曲。エリックさんやジュリーさんと同じように、私も十数年、KRUGに関わらせてもらったので、その経験の中で、同じメンバーの一員として書きました。

KRUGとの最初の思い出のエピソードを教えてください。

実は相当前からKRUGは飲んでいるのですが、最初にこのKRUGに対して、開眼した、意識したのは、最初にランスに行った時です。普通のシャンパーニュではないということを、味わいの奥行きから感じました。グランド・キュヴェが、ヨーゼフ・クリュッグのこだわりが凝縮された結晶である実感をしました。さらにKRUGには心があり、そこにいわゆるKRUGのクラフトマンシップが込められている。創設当初から現在に受け継ぐための歴史や継承しているという事実がはっきりと感じられました。

千住さんにとって、KRUGはどんな存在ですか？

同僚というか、心の中で共にあるというか。やはり何かというと、今回音楽を書いてつくづく思ったのは、いつもは一人で作業なのですが、今回は一人で作曲をしているのではなく、KRUGが常に傍にいてくれたので一人とは感じませんでした。シャンパーニュにはティスティングノートもあるので、それをベースに組み立てることもできる。そういう意味では一人で戦う必要がなかったというのがあるので、パートナーって言っても良いかもしれません。何か特別な時には必ずグランド・キュヴェを飲みます。お誕生日などお祝いの時はもちろん、そしてホッとする瞬間でも共にあります。