ワインも何年もかけて熟成されていきますし、僕自身の演奏もまだまだ日々成長しています。
それぞれのクリュッグのために作曲した楽曲について教えてください。
メゾンからクリュッグの哲学や歴史、クラフトマンシップを直接聞けたことが今回の核となっています。
クロ・デュ・メニルは、たった1区画の畑、1種類のブドウという希少性や特別感を表現するために、
メゾンからのフィードバックも受け、ソリストのみで最大限に表現しました。
ヴィンテージは、単一年のブドウを表現するにあたり、自分らしい弦楽合奏という形でブドウを音楽家に例えて表現しました。
グランド・キュヴェは、どこまでも広がる世界観をフルオーケストラでグランド・キュヴェのファンタジーの世界を表現しました。
人間が自分の命とともにブドウの一粒一粒の命を育み、ワインとなっていく。音楽も一日ではなりません。
僕もストラディヴァリウスに最初に触れたときはうんともすんとも言わなかったですが、2-3年経ってようやく扱えるようになりました。
ワインも何年もかけて熟成されていきますし、僕自身の演奏もまだまだ日々成長しています。
クリュッグとのミュージックペアリングについては、どのようにお考えですか。
粋な発想だなと思いました。クリュッグらしいアイディアですね。
特別な日でなくとも、クリュッグを開けること自体がセレモニーですから、そこに音楽は無くてはならない存在だと思います。
一方で、長い年月をかけてできた特別なものに対する想いからと考えると、ある意味自然な発想だとも思いました。
だからこそ決して驚きませんでした。
今はコロナの時代ですし、日々幸せな時もあれば悲しい時もあると思います。
同じ音楽を聴いても笑って聞ける日もあれば、涙なくしては聞けない日もあります。
人ってそういうものだと思います。
なので、クリュッグを飲むシチュエーションにおいて、その人の環境を音楽という形で手を差し伸べたり寄り添うことで
より安心感を与えてあげられたらいいなと思います。
自分の楽曲を聴いて、好きなように語って愉しんでいただけると幸いです。
ご自身の音楽をどのように表現されますか。
自分が感じるもの・感じたことをフレーズとして曲で表現するということです。
作曲をすることには必ず理由があります。
今回は口に含んだあの感動を曲にするというストレートなアイディアでした。
この曲は僕自身が作曲し演奏していますが、他人が聞いたり演奏したりすると感じ方も異なります。クリュッグもそうかもしれません。
ただ、メゾンが歴史を重ねて造ってきたクリュッグに対する感謝とリスペクトを表現しているので
必ず共感いただける部分があると思います。音楽とはそういうものだと思います。
音楽は必ず残るものなので、クリュッグがエディションという形で毎年新しい命を誕生させるたびに演奏していきたいと思います。