Mono

A talk with Ricardo Chaneton

クリュッグを初めて味わった時の印象を教えてください。

私が初めてKrugを口にしたのは、ブラインドテイスティングの時だったと記憶しています。当時はクリュッグのことも、メゾンとしてのクリュッグの歴史もよく知りませんでしたが、その体験はとても感動的で、哲学的でさえありました。クリュッググランド・キュヴェ 167 エディションを試飲しているときに、ソムリエが「目が見えないと想像してください」と言いました。鼻と舌の感覚に集中して、新しい発見をする準備を促してくれたわけです。クリュッグのシャンパンを初めて口にした時、最初に感じたのは、素晴らしいフレッシュさ、奥行き、そして繊細な泡でした。口の中を通して光を見るような感覚でした。

あなたの料理の哲学を教えてください。

フランス語の「restaurer」から来た「restore」を語源とする「レストラン」という言葉を、いつも頭の片隅に置いています。「私たちの店に訪れる人は皆、人生の何かを取り戻したいと思っている」というのが私の哲学の根本です。何かというのは、空腹やメンタルなど、何でもよいのです。つまり、私たちの仕事は、環境や良いサービス、料理を通じて、お客様が求めているものを提供し、お客様を回復させることなのです。私の哲学には、ベネズエラのルーツとサヴォワールフェールの要素も含まれています。フランスやスペインでの料理修行と2箇所のミシュラン3つ星レストランで得た知識を応用するだけでなく、ストリートフードにも通じる素朴で大ざっぱな味を組み合わせて、洗練された料理を作り出しています。細かなところへのこだわり、上品さ、エレガントさはとても大切ですが、同時に奔放性や感性も大切です。

料理と音楽の類似性とは？

音楽と料理は互いに関係性の強い芸術のようなものだと考えます。世界共通語のように、必ずしも同じ言語を話さなくても、理解し、楽しむことができるのです。MONOの料理はアドリブも多いので、バンドメンバーが自発的に新鮮なメロディーを作り出すジャズ音楽とよく似ていることも特筆すべき点です。個人的にはコンサートでもアドリブが一番盛り上がる曲だと思っています。で料理をするときは、毎日ライブをしているような感覚で、何が起こるかわかりません。トレーニングや経験を積んでこそ、より良いパフォーマンスを発揮することができるのです。

現在のこだわりは何ですか？

現在、私が夢中になっているのはラテンアメリカの食材です。これからのガストロノミーはきっとラテンアメリカになるでしょうね。南米では、山間部や近年発見されたばかりの土地がたくさんあり、世界に誇れるものがたくさんあります。現在こだわりを持って取り組んでいるのは、私が生まれ育ったラテンアメリカを再発見すること、そして、こちら側ではなかなか手に入らない料理や食材を通して、お客様にラテンアメリカを発見していただくことです。